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短編小説「K先輩・1」

05/24 22:58
学生時代、1学年上に
K先輩というなんというかいわゆる
「いいひと」な人がいて、
僕はとっても好きだった。

いつも笑ってて
少し大柄で豪快そうに見えるくせに、
どこか照れながらソレをしているような人。
とにかく気前がよくって、
その分損してそうなんだけど、
当人まったくお構いなし。
かえってまわりがハラハラするくらい。

K先輩はいつまでも富山なまりが抜けなくて、
だから今でも僕は富山の言葉を聞くと
先輩のことを思い出してしまう。

宴会といえば先頭に立って盛り上げに徹し、
さっさと潰れてしまったりして。
「だってその方が面白いだろ」ってのが口癖。
うちのサークルの男なんて、
いかにして女の子の隣に座るかばっかり考えてて、
大半のやつは先輩がぱっと盛り上げて、
そこそこ楽しんだら楽しみっぱなし。
「あいつおもしろいヤツだよね」
とか言いながら、
それをネタに女の子と話し始めたりするわけ。

良くも悪くも先輩はどこか田舎くさいままで、
へんなソフィスティケートさかげんとか、
とにかく気取ったようなところが無い人だった。
そういうところが
「いいひと」らしさに繋がっていたのか、
男の子には好かれていたけれど
女の子にはおもしろがれつつ、
浮いた噂の少ない人だった。
僕としては、その「おもしろがられつつ」が
とても歯がゆかった。
それを利用して女の子に取り入ろうとする安い男連中、
しかもおおむね先輩の同級だったりしたのだけど、
いまでもほんとうにイヤだと思っている。





続く




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